Academie à Hamamatsu
浜松国際管打楽器アカデミー・フェスティバル

7月22日より26日まで、第六回浜松国際管打楽器アカデミー・フェスティバルにフルモーのアシスタントとして行って来ました。第4回の時にもおなじように参加しました。アシスタントと言えば聞こえは良いのだけれど、要するに通訳っちゅうわけ。

この催しは浜松市とヤマハが主な主催者となって毎年開催しているもので、ヤマハを使用している管打楽器のミュージシャンが講師として世界中から招待され、レッスンやコンサートで充実した5日間を過ごす。

場所はもちろん浜松。駅のすぐ側にあるアクトシティというホテルと大会議場と大中小ホールが一体化している、大規模な施設のなかで毎年行われている。

レッスンは5日間で平均3回ほど受けられる。なんと言ってもそれらの有名なミュージシャンのレッスンを受けたりコンサートを聴けるのことは、音楽を目指す若者にとってとても刺激になっているだろう。現にこのアカデミーを経て、海外に留学を決意する人も多い。
今回フルモーカルテットのピエリック・ルマン氏のアシスタントを担当した、パリ音楽院の井上麻子ちゃんもその一人。

今年招かれた主な講師を紹介しておこう。
サックスは我らがフルモーカルテットの四人と須川展也氏。Cl.の赤坂達三氏、東京音大でお世話になった、N響の内山洋先生、Ob.和久井仁氏、金管はTpティモシー・モリソン氏、パリに留学中の「すぎっきー」のお父さん杉木峯夫先生、Tub.ロジャー・ボボ氏。マリンバが安倍圭子先生などなど、豪華メンバー。若手ではユーフォニアムで外囿祥一郎君、パリで活躍中の瀬尾和紀君も講師として参加していた。俺も早くこっちの身分になりたいものだーね。

これらの講師の先生方は、単にレッスンするばかりではなく、毎晩開かれるコンサートに出演して、その腕を披露してくれる。去年あたりまではアシスタントを含めた大合奏で吹奏楽をやったりもしていたのだが、今年はなくなっていた。残念。だからサクソフォニストとしての俺の出番はなし。おおおおおおおお!!!欲求不満。来年はなんかやらせろーーーー!!!

しかしながらレッスンは身の入ったものであった。俺自身はフルモーのレッスンを通訳していたので、他のクラスで何をやっているかは見ることはできないのだけれど、少なくともうちのクラスは生徒もとても優秀だったので、レベルの高いレッスンに通訳をしていた俺自身にも勉強になった。俺はこのフルモー氏に3年間ついていたのだけれど、やはり素晴らしかった。レッスンを通訳すると言うことは、その言葉一つ一つを完全に理解しているわけで、それを繰り返して日本語にして生徒に伝えているうちに、自分の頭に彼の言葉が叩き込まれていく。一日の通訳で疲れているはずなのに、終わった後楽器を持ってきてさらってしまったぐらいやる気が出たし、俺自身も上達したと思う。やはり先生はいつになっても先生で、尊敬できる存在なのだ。こういう先生につけた事を今更ながら本当に幸せに思う。


フルモークラスの講習生達と。左の男四人は今回がきっかけでカルテットを組んでやっていくらしい。
フルモーの教えているセルジーポントワーズ音楽院への留学を考えている子も数人いた。

レッスンの後は講師陣の活躍するコンサート。今年もソロあり、室内楽あり充実したコンサートであったが、やはり今年の目玉はフルモーカルテットであった。ソリストとして参加している講師が多い中で、普段からグループとして活動しているこのカルテットの演奏はひときわ目立った。

颯爽と客席から登場した彼ら。見事なパフォーマンスと高い音楽性で観客を魅了していた。本当はやらないはずだったが、拍手が鳴りやまず異例のアンコールとなった。
フルモーカルテットの魅力はなんと言ってもそのサービス精神。プログラムもその時の観客にあわせ、決してあきさせることのないように組んである。音楽もパフォーマンスも見事に円熟期に入っていて、エンターテイナーの貫禄充分であった。音楽を通じて発生するお客さんとのコミュニケーションを本当に大切にしている人たちなのである。うん、俺もカルテットのファンの一人なんだな、きっと。ともかくBravoでした。

他にもサックスは日本代表で須川さんが演奏。長生淳さんの新曲、天国の月とピアソラの忘却(Oblivion)を彼の個性溢れる素晴らしい感性で表現してくれた。この人は本当に音楽とサックスが好きなんだなぁ。とても良かったのだ。帝鵬さんのピアソラのアレンジもサイコーにごきげんでした。もちろん長生さんの新曲も。須川さん約束通り譜面くださいねー。


いきなり関係ないけど泊まったホテルオークラ39階の部屋からの浜松の夜景。きれいでしょ?

サックスの事ばかりになってしまったけれど、他の楽器の講師の方々も大活躍であった。中でも楽しめたのはマリンバの安倍先生の演奏。最近しんちゃん(石原)の影響で関心を持っているこの楽器。そのしんちゃんの先生の演奏だけにとても興味があった。マリンバというのは打楽器だけに、演奏中の動きというのが見ていてもおもしろい。演奏しているだけでそれが肉体的パフォーマンスなのだ。さらに、安倍先生の作品(今回はオール自作自演)というのは、その演奏中の動きを見事に利用して見ていても聴いていても楽しいものになっている。例えば足首に鈴を付けて、鍵盤の前を左右に動くときに鳴るように仕掛けてあったり、手首にカシシという楽器を付けて、マリンバの音色に色を添えたり・・・。それが故に衣装なども雰囲気のあるものを身につけていらっしゃった。普段施設の中で出会う時の上品なおばさん(失礼か?)といった印象を全く感じさせない、パワフルかつ躍動感のある素晴らしい演奏でした。お金があったら曲を頼みたいなぁ。


自作の「道」を演奏。足に鈴をつけて子供のように走りながら登場するという演出も面白かった。

だいぶアカデミックにここまで話してきたが、もちろん世界の管打楽器奏者が集まるわけで、一日の仕事が終了すればお疲れさまの飲み会がないわけがない。なんでこんなに疲れたかって、この毎夜繰り広げられる宴のお陰なのだ。毎晩1時2時まで。よくこんなんで5日間持ったなぁ…と我ながら感心してしまった。
しかしこの宴があるからこそ、そこでの交流があり、音楽家としておもしろいアイディアや意見の交換ができるのである。友情も深まるし。一番強力だったのは、夜中まで飲んだ後、須川さんと俺らアシスタントで2時半までホテルの俺の部屋で世界のサクソフォーン界についての大討論会。面白かったーーー!!!


ほとんど毎晩通った「プチマルシェ」こと海鮮市場という飲み屋。ホテルの地下にあるのでついついここになる。
左の美人はピアニストで須川さんの奥さんの美奈子さん。

最終日の前の晩は全体での打ち上げ。マインシュロスというドイツ風のビヤホールで行われた。毎年そうなのだがここで繰り広げられる非公開の演奏会が一番おもしろく盛り上がる。参加は自由で吹きたいやつが吹く。そういう雰囲気がきっといいのかもしれない。講師の先生がたも、やはり宴会用の持ちネタ(笑)というのがあるらしく、それぞれにとても笑えるパフォーマンスを披露していた。やはりここでも大活躍だったのがフルモーカルテット。日本ではあまりやらないギャグのパフォーマンスを連発。大爆笑。あまりの可笑しさに感涙であった。


YamahaFranceの福沢さんから送られたキャップをかぶって登場。

閉会式をやって全て終了だったのだが、ここで思いもよらずフルモー氏が最後の講師代表のスピーチをすることに…。で、俺が通訳することに…Σ( ̄ロ ̄lll) ガビーン。事前に原稿を用意してあったものの、こういう場でのスピーチというものは俺はからっきし苦手で(コンサートでのしゃべりは大丈夫なのになぁ)友人の結婚式などでもかなり大恥をかいた経験もあるだけに、超緊張。訳している間も原稿持つ手がふるえてしまったよ。おお、情けなかぁ。でも無事になんとか乗り切った…。写真がないのが残念。きっと笑顔が引きつっているはず(爆)

通訳というのはとても気を遣うもので、それこそぼーっとしてる間はないし、常に頭と耳と口をフル回転させなきゃいけないので毎日とても疲れた。仕事としてはレッスンの通訳だけだが、他にも雑誌のインタビューから飲み会での彼らのギャグまで通訳した。フランスにいてもこんなにフランス語を話す機会なんてなかなかないだろうなぁ。まぁ語学の上達も音楽の上達と同じように嬉しいものだから勉強になって良かったけどね。

でも結局のところ、アシスタントといっても通訳であって演奏の機会はないし、目立つことできないし、おもしろいけど満たされぬぅ!!やっぱ俺もミュージシャンの端くれなのだ。俺も早いとこ有名になって講師として参加したいと決意も新たにしたのであった。

参加した講師の皆さん、講習生の皆さん、スタッフの方々、アシスタントのみんな、お疲れさま。充実した講習会でした。今後もまたよろしくねーーー!!!(←ってこのページ見る講師の人いるかねぇ?須川先生!みてる?

しっかし、あのうなぎは旨かったなぁ。

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