Préférez-vous lequel Sax ?

SerieV&Custum徹底比較研究


もらったばかりの楽器と(カッコつけてみた(爆))。バックは俺のアパート。

去年の卒業試験の時にセルマー賞というのをもらって、一年も経ってからやっと賞品の楽器を取りに行ってきました。発売間もないSerieV。去年の段階ではまだプロトタイプしかなかったのと、ストックが少ないため、ずっとそのまんまになっていたのでした。あまりに取りに来ないので、忘れられるところでした…危なかった(^_^;)

パリのセルマー社はうちのすぐ近く。うちからバスに乗って5分。区もいっしょで11区というところにあります。五階建てのビルで、一階には受付とちょっとしたコンサートもできるサロンがあって、二階が総合受付。待ち合わせの時はここに申し出る。三階にリペアルームと試奏室がある。
ここで楽器をだしてもらって試奏。最初5本あったのだが、その中にいい感じのがないので、さらに3本だしてもらって、結局その中の1本に決定!!!満足のいく選択ができたと思う。


Selmer SerieV            Yamaha Custum 875G

考えてみたらこのサイトで自分の楽器を公開するのはじめてのことだ。まぁそんなこと見ている人は興味もないかもしれないので、特にアップしなかっただけなのだけど、上の写真の右側が僕の楽器…というか、ヤマハのご厚意で借りている金メッキの非常に高価なサックスです。今はこれをありがたく使わせていただいているものの、僕はもう5年前からヤマハカスタムを愛用しています。パリ音楽院の入試も卒試もその楽器。大変お世話になってますYamahaさんに感謝。m(_ _)m。
音楽院のサックス科にヤマハの楽器を吹く人間が入ったのはサックス科創立以来、僕がはじめてのことだったので、セルマー信者の師匠には柔らかくイジメを受けていました(笑)。まぁ今となってはそんなことはどうでも良いのだけれど…。

さて前置きはこれぐらいにして、持ち帰ったSerieVを早速徹底比較研究。僕なりにまとめてみました。あ、これは全く個人的な感想なので、参考にする程度にとどめておいてくださいねー。後で「こう言ったのに違うぢゃないか!!」と責めないでね。あ、比較研究なんて題名だけど、別に甲乙を付けようっていうんぢゃないので。


学校のレッスン室でテスト。吹き慣れたカスタム。マウスピースはVandorenA28、リードGlotin3・1/2。

僕のカスタム(ヤマハ)はとてもいい楽器で、ともかく音色、音の抜けやバランスが最高!!!これまで出会ったどの楽器よりも気に入って使っています。僕の師匠(フルモー)が、この楽器を試した後、ヤマハに金メッキの楽器を緊急注文した程、素晴らしい楽器です。(←自慢
それに半年前に発表になったG-1ネック(ゴールド)を付けているので、高音部の伸びは限界を知らない感じ。今まで抱いていた高音の音の伸びへの不満が一気に解決されてしまった。音色も前より華やかになったかもしれない。ネックを改良するだけでまるでちがう楽器のようになるから不思議だ。
ネックに着眼点をおいたYamahaのエンジニアとテスターたちはホントにすごいと思う。ネックのことについては
フルモーカルテットのインタビューのページにいろいろ書いてあるので参考にしてくださいね。

対するセルマー。以前のモデル、セルマーシリーズUが発表になって以来、実に13年程経ってのメジャーチェンジになるこのシリーズVだけれど、いろいろ革新的な改良が行われているみたいだ。
まずすぐ目に付くのは、高音域C♯の補正キイが付いたこと。C♯と言えばサックス吹きには痛いほどわかる音程の悪いとこ。これがこの補正キイのお陰で全くと言っていいほど、音程を気にせず吹ける。いつもの癖で右手の人差し指のキイ(F)を足そうものなら低くなっちゃってびっくりって感じなのだ。


SerieV。見た目は以前のモデルとあまり変わらない(爆)

他にもセルマーはサクソフォンの老舗ならではの新機構を取り入れている。例えば低音C♯。
ここのタンポがくっついてしまって困った経験はありませんか?これを新機構によって、バネを強くし、はがれやすいようにしている。だからといってキイレスポンスが悪くなったり、重くなったりということはない。これぞ「痒いところに手が届く」的親切機構だといえる。さすが。

音色の面から言うと、セルマーが以前よりもメロウに、G-1ネックを装備したカスタムが明るく、という具合に互いに似てきた気がする。あくまでも僕の印象だけど、似てきたというかまるっきりひっくり返ってしまったような…。カスタムはかなり吹き込んであり、セルマーは新品状態なので、同じ状態で比べるのとだいぶ変わるかもしれませんがね。
印象としては、セルマーはだいぶ室内楽向きになったような気がする。音程もとりやすいし。ヤマハはよりソリスティックになった。
どちらにせよ、セルマーとヤマハのG-1開発テスターは二人ともフランス人(ドゥラングルとフルモー)なので双方ともより「おフレンチ」な音色になったことは確かだ。

操作の面では慣れのせいもあってか僕はヤマハがやっぱり楽。特にシリーズVの右手のキイについては以前のほうが良かったと思う。そのかわり、左手のサイドキイはシリーズUに比べ格段と操作しやすくなった。

全体的に見ると、お互いがお互いの持っていたクオリティを生かしながら、成長を遂げているのがよくわかる。良い楽器を手にするというのは演奏家にとってとても幸せなことです。今後も切磋琢磨しあって、良い楽器を作ってくださいねー。

Selmer/Yamaha各社HPへのリンク
     
www.selmer.fr   www.yamaha.co.jp

[Back to Top] [Back to Sax]